【ソウル=藤本欣也】米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備が迷走している。韓国は配備を前提に米国との交渉開始を宣言したものの、米側の事情で実務協議に入れないままだ。韓国国内では、米国が対北朝鮮制裁の妥結を優先し、配備に反対する中国と裏取引したのではないかとの疑念が浮上。自国の安全保障が大国の思惑に左右されかねないとの懸念が広がっている。
「私たちはTHAAD配備を急いでいるわけではない」-。ケリー米国務長官が2月23日(米東部時間)に中国の王毅外相と会談した後に語ったこの発言を、韓国メディアは驚きをもって伝えた。会談では、中国側の歩み寄りによって対北制裁などで「重要な進展」があったとされている。
韓国側が驚いた背景には、核実験や長距離弾道ミサイル発射を強行する北朝鮮の脅威を前に、朴槿恵(パク・クネ)政権が同月7日、米側の要請を受け入れてようやくTHAAD配備の協議開始を決断した経緯がある。