【ベルリン=宮下日出男】欧州中央銀行(ECB)は10日、独フランクフルトで定例理事会を開き、国債などを買い取る量的緩和の購入規模を月800億ユーロ(約10兆円)とし、現行の月600億ユーロ(約7兆5千億円)から拡大することを決定した。資産購入対象に、銀行を除く企業の社債を加えることも決めた。4月から実施する。世界経済の不透明感が強まる中、追加金融緩和でユーロ圏のデフレ入りを阻止する。
ECBは民間銀行が余剰資金を預ける際に手数料を課す「マイナス金利」の幅も拡大。現行のマイナス0・3%からマイナス0・4%に引き下げた。主要政策金利も過去最低の0・05%から0・00%にすることも決定。ともに今月16日から実施する。銀行に超低金利で融資する長期資金供給も6月の実施を決めた。
ユーロ圏では2月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比0・2%減(速報値)と5カ月ぶりの下落に転じ、デフレに陥る懸念が再び強まっている。主因の原油安が早期に改善する見通しもないため、ECBは追加緩和に踏み切った。
ECBの追加緩和は昨年12月以来約3カ月ぶり。当時は内容が不十分と受け止められ、市場が混乱。ドラギ総裁は1月の理事会後「3月に金融政策の方針を見直す必要がある」と強調していた。