【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(36) (2/3ページ)

2016.4.15 05:00

モンユワの「牛団地」で春雨工場から出た「廃液」を乳牛に与える酪農家の夫人=2016年3月(筆者撮影)

モンユワの「牛団地」で春雨工場から出た「廃液」を乳牛に与える酪農家の夫人=2016年3月(筆者撮影)【拡大】

 この春雨製造工程でマメの搾りかすや豆粉を浸(つ)けた廃液などの「副産物」が排出される。元々は悪臭とともに捨てられていたこの排出物は非常に栄養価に富んでおり、今や牛や豚を飼育する周辺農家が競ってこれを買いに来る。

 この春雨工場団地に近接するように「ノワー・ゾーン(牛地区)」と呼ばれる乳牛飼養家の団地ができたのが09年のことである。60×80フィート(1フィートは約0.3メートル)を一区画として、120万チャット(当時の為替レートで約9万5000円)で売り出され、100世帯ほどが家族単位で入植してきて酪農をはじめた。

 ミャンマーの人たちには元来、牛乳を飲む習慣がなく、コンデンスミルクやバターを少量消費するのみであった。そのため1頭当たりの年間乳量が2800キログラムほどしかない、2、3頭のビルマ牛の乳を搾って販売する世帯が村の中にぽつぽつとあるだけだった。

 それが1990年代以降、乳製品の国内生産化や外国人の増加によって、牛乳の需要が増え、乳用牛が登場し、多頭飼育が行われ始めた。この場合の乳牛とはフリーシアン(ホルスタイン)とビルマ牛の交雑種で、日本の年産8000キロには及ばないものの、5500~6000キロと乳量がビルマ牛の倍にもなる。モンユワの牛団地では、この乳牛を1世帯当たり30~50頭飼育している。

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