政府は、こうした動きを産業界全体に広げたい考えだ。ただ、中小企業などで意欲が高いとはいえず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主任研究員は「国際競争力を高める危機意識が必要だ。場合によっては、設備投資減税といった動機付けも必要だろう」と指摘する。
日本特有の産業構造克服も課題になる。日本はドイツより産業ごとの大手企業数が多く、企業の枠を超えた情報共有などは難しい側面があるとも指摘される。
政府の環境整備も欠かせない。国家戦略特区で試験的に規制をなくして課題を洗い出す取り組みや、ITを使いこなせる人材育成のための教育体制の整備が急務となる。世界経済失速による先行き不安などもあり、足元の企業の投資意欲は力強さを欠く。官民挙げた「生産性革命」の道のりは容易ではない。