欧州中央銀行(ECB)も3月にマイナス金利の幅を広げたが、ユーロ高を修正できず、投資家心理は慎重なままだ。
27日公表のサミット首脳宣言では「財政上、金融上、構造上の政策の重要な役割を再確認する」とするが、金融政策はサミットでほとんど議論されておらず、日米欧が“協調路線”を見いだすのは至難の業だ。
FRBが6月に追加利上げを行う可能性が高まる中、日米の金利差拡大が意識され、足元の円相場は110円台まで円安に戻している。ただ、新興国市場からの資金流出懸念が再燃すれば、投資家心理が悪化し一段の円高を招く恐れも出てくる。
日米欧で異なる金融政策の方向感が、今後も市場の波乱要因となるのは間違いなさそうだ。(藤原章裕、飯田耕司)
■日米欧の金融政策
≪これまでの主な政策≫
・米国(FRB) 2014年10月に量的緩和を終了。15年12月にゼロ金利政策を解除し、0.25%利上げ
・欧州(ECB) 14年6月にマイナス金利を導入し、15年3月に量的緩和策を導入(月額600億ユーロの資産購入)。16年3月にマイナス金利幅を0.4%に拡大
・日本(日銀) 13年4月に大規模金融緩和を導入。14年10月に国債購入量を年50兆円から80兆円に増やす追加緩和。16年2月にマイナス金利(0.1%)を導入
≪今後の方向性≫
・米国(FRB) 雇用や物価の改善が続けば、「(次回)6月会合での利上げが適当」(連邦公開市場委員会参加者の大半、4月の議事録)
・欧州(ECB) 「インフレ押し上げに向け一段の措置を講じる」(4月のECB理事会議事要旨)
・日本(日銀) 「必要ならちゅうちょなく追加の緩和措置を講じる」(黒田東彦総裁)