【消費増税再延期】軽減税率や住宅ローン減税もずれ込みへ

2016.5.30 23:01

 安倍首相が消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで延期する方針を固めたことで、食料品の消費税率を8%に据え置く軽減税率の導入など増税を前提にした制度の実施はずれ込む見通しだ。来年4月以降の増税による駆け込み需要の反動減を想定して導入している住宅購入時の負担軽減の税制なども延長されるとみられる。

 「常識的に考えれば、そのまま延期になる」

 財務省主税局幹部は打ち明ける。軽減税率は消費税率が10%であることが前提であるため、31年10月まで単純に延期される公算が大きい。

 小売りなどの事業者は、軽減税率の導入で税率が複数になり、レジや受発注システムの改修が来年4月に間に合わない事態が懸念されていた。事業者は延長により、余裕を持って準備を進められる。中小企業対象の改修費の補助制度も、従来の来年3月末の期限が延長されるとみられる。

 不正を防ぐため、請求書に税率と税額を記載するインボイス(税額票)の導入時期は33年4月に予定されているが、制度の周知には十分な期間があるとの見方から、計画通り実行される可能性がある。

 一方、景気への影響が大きく、増税による駆け込み需要の反動減対策として導入された住宅購入時の優遇も「首相が景気浮揚のために消費税再増税を延期することを考えると縮小は考えにくい」(財務省幹部)。

 住宅ローンの残高に応じて最大年50万円分の所得税が減税される「住宅ローン減税」は現在、期限が31年6月までだが、再増税以降まで延長される見通しだ。

 祖父母や親が子や孫に住宅購入資金を援助する際の贈与税の非課税措置も延長が予想される。反動減を見越し、28年10月から29年9月までを3千万円と最大にする予定だったが、31年10月の前後の1年にスライドさせる可能性が高い。

 住宅メーカーには来年4月の増税を見越して販売を強化する動きがあるが、住宅の消費税額は大きく、消費者は優遇措置を見極めながら購入を検討する必要がありそうだ。

 首相の延期方針を受け、財務省幹部は30日、今後の対応を協議した。増税延期を明記した税制改正関連法案は参院選後の臨時国会で提出される見込み。政府・与党は関連する税制を個別に見直した上で、増税延期と合わせて一括した法案として臨時国会に提出する方向で調整する。

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