【ニューヨーク=松浦肇】10日の欧米の株式市場は同時株安の様相となった。景気に敏感な銀行株が売られる一方で長期金利が低下し、国際金融市場では「リスク回避」の動きが強まってきた。欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の国民投票が23日に控えているほか、14、15両日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)など金融市場の動向を左右する不透明な材料がめじろ押しで、投資家は様子見にもなっている。
外国為替市場では10日、ユーロ安が進行し、ニューヨーク市場の円相場は一時、2013年4月上旬以来、約3年2カ月ぶりの円高ユーロ安水準となる1ユーロ=119円92銭をつけた。ニューヨーク株式市場は、ダウ平均が前日比119・85ドル安の1万7865・34ドルで取引を終えた。欧州市場も軒並み値を下げた。
株式市場から流出した資金は比較的安全な資産とされる米国やドイツの国債や金などに流入した。米長期金利の指標となる10年債利回りは一時、今年2月中旬以来、約4カ月ぶりの低水準となった。金価格に連動する上場投資信託(ETF)である「GLD」は今週、年初来高値の水準まで買い進まれた。
また、米ウォール街で足元の話題になっているのは、産油国の財政事情だ。原油価格の長期低迷により湾岸諸国の財政が悪化し、「資金手当てのために、政府系の投資ファンドが世界中に投資していた保有株を売るリスクもある」(関係者)との声も聞かれた。