欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票で離脱が決まり、英国に拠点を持つ日本企業は戦略の見直しが避けられない情勢だ。日本企業の多くが英国拠点をEUや北米向けの輸出拠点としているが、関税の仕組みが変わる恐れがあり、輸出が減れば業績に打撃を与えかねない。実際に離脱するまで時間はあるものの、工場や人員配置の一部をEU域内に移すなどの対応を迫られそうだ。
英国で鉄道や原発事業を展開する日立製作所の東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は24日、「事業への影響を慎重に評価し、対応を検討したい」とコメントした。昨年、英ニュートン・エイクリフに鉄道車両の工場を新設したばかりで、現在400人の雇用を730人まで拡大する計画だったが、見直す可能性も出てきた。イタリア工場を欧州の主力にすることも今後考えられそうだ。
自動車業界も競争力低下を警戒する。トヨタ自動車はバーナストン工場で年19万台を生産し、EU向けなど輸出が約75%を占める。24日に「影響は今後の動向を注意深く見守りながら検証していきたい」とのコメントを発表し、欧州拠点も含めた生産体制の見直しを示唆した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は同日、記者団に対し「日本企業は当面、英国投資は抑制的になる」と話した。
急激な円高も逆風だ。パナソニックは、対ドルで円高が1円進むと、350億円の減収に、営業利益ベースで10億円の減益になるという。「短期的には為替市場でリスク回避の動きが強まる」(同社)と懸念する。
企業業績の悪化などに伴い、国内経済に悪影響も及びかねない。経団連の榊原定征会長は同日、記者団に対し、「政府目標の国内総生産(GDP)600兆円経済にプラス材料にはならない」と言及。高島屋の村田善郎常務は「株安が進めば、日本の消費も低迷するし、為替によっては訪日外国人の消費にも影響が出るなど不安要素が多い」と心配する。