ただ、財源の確保はおぼつかない。15年度の剰余金は約2500億円にとどまった。財政投融資なども活用する考えだが、国債の発行も視野に入る。
対策の中身も問題だ。リニア中央新幹線の計画前倒しなど公共事業や、プレミアム商品券の発行などが見込まれるが、公共事業は人手不足の状況では景気押し上げ効果は限定的。消費刺激策も需要の先食いで終わる可能性がある。
日本総合研究所の湯元健治副理事長は「成長戦略をしっかりやって、(経済の実力を示す)潜在成長率を引き上げていくことが大切だ」と強調する。
安倍政権は農協改革や電力自由化を進めてきたが、正社員と非正規社員の賃金差を縮小する「同一労働同一賃金」実現をはじめとした労働市場改革などはこれからだ。選挙戦で争点になった、年金や育児などの社会保障制度改革も消費税増税の再延期で改めて重要になっている。
安倍政権は有権者の信任を受けたことで、日本経済の地力をつける政策を実行する責任を負っている。(田村龍彦)