中国も減速傾向鮮明
世界の成長を牽引(けんいん)してきた中国経済も減速傾向が鮮明だ。多額の不良債権や鉄鋼の過剰生産など構造問題の克服は国内の政治情勢も絡み、時間がかかる。人民元相場は下落が目立っており、ひとたび海外への資本流出が起きれば金融市場が混乱する恐れがある。
先行きの厳しさを象徴するように、国際通貨基金(IMF)が7月に発表した世界経済の成長率見通しは2016年が3.1%、17年が3.4%で4月時点の予想からそれぞれ0.1ポイント引き下げた。
米共和党の大統領選候補者に指名されたトランプ氏が「米国第一主義」を訴えるなど孤立主義や反グローバリズムの動きも世界経済の先行きに影を落とす。テロなどの新たな脅威も拡大している。
一方で、リーマン・ショック後のように各国が金融緩和で経済を支える余地は乏しくなっている。このため、G20は声明で「金融政策のみでは均衡ある成長につながらない。構造改革の重要な役割を強調しつつ、財政政策が同様に重要である」と強調した。