保護主義の行きつくところは国際紛争である。私たちは、さまざまな歴史でそれを学んできたが、かつて日本もその当事者となった国である。
しかし戦後は、自由主義陣営のなかで国際貿易と国境を越えた投資の拡大により発展を遂げた。日本がTPP実現に向けいち早く動くことで、モノ、カネ、人、情報の国境を越えた移動が、これに参加する国々の発展につながるとともに、多様な民族、さまざまな文化・宗教的背景を持つ人々の相互理解を促す。結果として国際紛争の火種を事前に消す安全保障の役割も果たす。
「それは夢物語、理想論だ」と言われることは重々承知している。そのうえで、やはり世界を相手に大戦を起こし、アジアの国々を中心に大きな苦しみを与えたばかりか、自国国土が焦土と化した経験を持つ日本だからこそ、平和構築に向けたさまざまな手段を考え提案し、また積極的に行動することが肝要だと思う。そういう観点から、TPPに加えて、中国、韓国なども参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の実現にも全力を傾注する義務が日本にはある。
「所詮、グローバル企業だけが利益を得る枠組みだろう」という批判的意見もある。だが、例えば安心、安全を売りにしている日本の農水産物の輸出や健康に資する食文化の海外展開に広域的な経済連携は欠かせない。