「愛国」に縛られる中国指導部のジレンマ スマホで強くなった市民の意思 (3/5ページ)

講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター
講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター【拡大】

  • 討議に参加するエズラ・ボーゲル氏(右から3人目)と星野俊也氏(同4人目)=7月28日、大阪大学中之島センター

 「●(=登におおざと)小平は、外交をうまく運ぶためには文化も含め相手の深い理解が必要だとわかっていた。北京でのキャリアが少ない習氏の場合、国内向けに力を示すためにも、ポーズを取らなければいけないこともある」

 不満をそらし求心力を高める国内向けの政策は、結果として政権を縛る。

 「中国の指導者は外国との協力が必要であることをわかってはいる。習氏もやりすぎたと理解しつつあるようにも見えるが、(弛めるのは)立場上、難しい」

 一方、近年、日中間の大きな軋轢(あつれき)となっている尖閣諸島をめぐっては、民主党政権時代の不手際も大きいと指摘した。中国漁船衝突事件の船長拘束や尖閣諸島国有化で、「中国側の怒りを十分理解していなかった。政権と外務省の間のコミュニケーション不足が原因だ」と述べた。

 個人に力与えたスマホ

 続いて演壇に立った星野氏は、国家と国民の関係という広い視点から「強権的な国家に抑圧される国民という従来の見方は通用しなくなってきている」と、古典的な発想からの転換を促した。「国家は強そうに見えて実はそうでもない。人々の意識を無視できなくなっている」と言う。

力を与えた最大の要因が「スマートフォンだ」