「愛国」に縛られる中国指導部のジレンマ スマホで強くなった市民の意思 (5/5ページ)

講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター
講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター【拡大】

  • 討議に参加するエズラ・ボーゲル氏(右から3人目)と星野俊也氏(同4人目)=7月28日、大阪大学中之島センター

 「仲裁裁の裁定を受け入れられないとなると、国際社会の約束とは何なのかということになる」

 中国のみならずウクライナ南部のクリミア半島を併合したロシア、さらに米国にも内向きな行動は見られると指摘。「米ソ二極対立から米国一強を経て多極、さらには無極状態に向かいつつある」と解説した。

 星野氏はその上で、国家間の対立を乗り越える「スマート・バランシング」という考え方を提示した。

 軍事的な均衡に偏りがちなハードなパワーバランスだけではなく、非軍事的な手段や、国際制度などソフトを使った抑止力も加味するという考えだ。日中関係についても政治、軍事、歴史など対立しやすい面だけではなく貿易、観光、留学なども含めた「多面的、多角的な視点でつきあっていくことが大事だ」と訴えた。

 ■エズラ・ボーゲル氏 1930年生まれ。ハーバード大社会関係学科で博士号。同大で教授、東アジア研究所長などを歴任。

 ■星野俊也氏 1959年生まれ。国連日本政府代表部公使参事官、大阪大大学院国際公共政策研究科教授などを経て同大理事・副学長。