「愛国」に縛られる中国指導部のジレンマ スマホで強くなった市民の意思 (4/5ページ)

講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター
講演するエズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授。ベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者としても知られる=7月28日、大阪市北区、大阪大学中之島センター【拡大】

  • 討議に参加するエズラ・ボーゲル氏(右から3人目)と星野俊也氏(同4人目)=7月28日、大阪大学中之島センター

 星野氏は、リビアやエジプトなどで独裁的な指導者が追われた中東の民主化運動「アラブの春」を例に、「自己主張や不満を表明する個人の力が非常に強くなった」と指摘。力を与えた最大の要因が「スマートフォンだ」と強調した。

 新しいテクノロジーによる変化は、インターネットの情報で広場に人々が集まり、体制を転覆させる抵抗運動にまで発展したことに象徴されるという。中東諸国に比べ強固にみえる中国についても、「強くなった市民」の意思を注意深く観察する必要があるとした。

 「国内において市民が政治指導者をどう見ているかが重要になった。それを理解しなくては、なぜ強硬姿勢を取るのかといった国の行動は理解できない」

 無極状態に向かう

 星野氏はさらに、中国が南シナ海での領有権主張を全否定された仲裁裁判所の裁定を無視していることに関連し、「第二次大戦後の国連メカニズムが70年を経て根本的に揺らぎ始めている」と述べた。メカニズムを構築した国連安全保障理事会の常任理事国そのものが内向き、自己中心的になり、秩序を破壊する力が働いているという。

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