
インド東部ビハール州パトナで禁酒法違反の通報を受け付ける州管制室の職員ら=6月(岩田智雄撮影)【拡大】
非常に厳しい「禁酒法」が施行されたインド東部ビハール州で、税収減によるとみられる公務員への給与未払いや、密造酒を飲んだことによる死亡事件など社会問題が噴出している。同州政府は税収不足を補うため、付加価値税(VAT)を上げる方針で今後、市民の不満が一層高まる恐れがある。
◆教員への給与未払い
同州政府は2014年度の税収2075億ルピー(約4150億円)のうち、約20%の400億ルピーを酒の販売に頼っていた。しかし、禁酒法の施行により、この税収がごっそりなくなった。同州は薬を含む多くの物品についての付加価値税を14.5%から15%に上げることなどで、税収の15.9%増をもくろむが、南グジャラート大のマドスダン・ラジ准教授は「達成できれば、大成功というところだろう」と冷ややかにみている。
昨年度の同州の財政赤字は前年度比で5.85%増となり、全州平均の2倍近い。工業部門の成長率は4.9%と前年度の12.9%を大きく下回っており、ラジ准教授は「税収減は、最貧州である同州での人材開発に打撃を与えることになる」と指摘している。