【杭州=田村龍彦】中国・杭州で開かれている20カ国・地域(G20)首脳会議は5日、「パナマ文書」で注目される課税逃れ問題や世界経済のリスクになっているテロへの対策強化などを議論。世界経済の持続的成長に向けて各国が構造改革など全ての政策を活用することを盛り込んだ首脳宣言を同日午後に採択し、閉幕する。
G20は、多国籍企業や富裕層による国境をまたいだ税逃れを防止するための経済協力開発機構(OECD)租税委員会による取り組みを歓迎。各国は引き続き連携を進めていく見通しだ。ただ、米アップルに対する課税をめぐって欧州連合(EU)と米国などの対立が表面化しており、影響する可能性もある。
イスラム国(IS)などのテロが続発していることへの対策では、テロ組織への資金供給を阻止するため、各国当局間の情報交換や資産凍結で協調する見込み。対策を担う金融活動作業部会(FATF)に対し、機能強化に向けた作業を進めるように求める。また、欧州を中心に各国の関心が高い難民問題でも協調を呼びかける。
抗菌薬(抗生物質)の効かない薬剤耐性菌が世界的に増えている問題をG20首脳会議として初めて議論。公衆衛生や経済の安定に深刻な脅威をもたらしているとして研究を加速させる。
金融危機の再発を未然に防ぐための銀行の資本規制に関しても、細部の調整を年内に終えることを確認する。