
温泉地などを訪れる外国人観光客への利便性向上は喫緊の課題だ【拡大】
■経産省、五輪見据えて決済実証実験
経済産業省は28日、外国人観光客が指紋などの生体認証だけで買い物や温泉の利用ができる「おもてなしプラットフォーム」の実証実験を10月から開始すると発表した。2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、現金を持ち歩かなくてすむ環境を整えるのが目的。あらゆる機器をインターネットにつなげる「モノのインターネット(IoT)」で訪日客の利便性向上につなげる。
実証実験は関東、大阪、福岡の3カ所で実施。3月に報告書をまとめる。
関東では、箱根や湯河原などの観光地で指紋認証による決済を導入。空港などで指紋や個人情報を事前に登録すれば、温泉施設や飲食店、約100店舗を手ぶらで利用できる。
大阪では、スマートフォンで手のひらの生体情報とクレジットカード情報を登録。手をかざすだけで水族館や隣接するショッピングモールなどで支払いができるようになる。
アジア圏からの観光客が主なターゲット。プラットフォームは各地で登録された個人情報のうち、氏名や住所などを共有化して管理。消費動向などのビッグデータ分析も行う。来年4月から地域を広げて実証を継続する計画だ。
訪日客は個人情報の登録や決済手続きが簡素化し、国内事業者も外国人旅行者のニーズが把握しやすいなどの利点がある。ただ、指紋などの生体情報やクレジットカード番号などの信用情報の共有化には個人情報保護上の課題が多く、経産省は実証を通じたルール整備を進める。