円高と日銀の新政策移行 マイナス金利拡大を躊躇するな (2/4ページ)


【拡大】

 輸出産業の国内総生産(GDP)に占める割合(2015年)は、米国13%、日本17%と高くない。ドイツ47%、韓国46%、中国22%に比べると日米ともかなり低いが、輸出依存度に関係なく通貨の交換レートが自国の景気や雇用を左右する。

 グローバリゼーションが進む中、自動車、電子機器など各国の産業競争力は拮抗(きっこう)している。米アップルのiPhoneは米国が誇る最先端技術だが、韓国、中国の企業も技術でただちに追いつき、価格競争で優位に立ち、シェアを奪ってしまう。しかもその部品の大半は米国ではなく、日本などで調達し、完成品を中国で組み立てる。

 日本では円高に伴う輸出企業の収益減は関連産業を巻き込み、産業界全体の賃金を押し下げるというのが、これまでの20年デフレだ。このまま円高を阻止できないようだと、デフレ圧力が高まり元のもくあみ、安倍晋三政権と日銀が目指す脱デフレの道が閉ざされかねない。どうすべきか。グラフに戻ろう。

円高の真犯人は消費税増税という「失政」にある