国にとって非常に重要なインフラ事業は、日本でも国に保護され、他国の建設会社が参入することは容易ではない。にもかかわらず、中国企業がタンザニアで圧倒的な存在感を発揮しているのは「現地に求められる品質のビルを安く造っている」からにほかならない。
日本の建設会社のアジア新興国事業展開が進まない最大要因は、品質とコストのバランスだ。「日本ならではの高度な建設技術や安全基準」を売りにしても、アジア新興国では入札で勝てず、それならばと材料や設計、施工を安くするためにコストを削っていけば、当然、「日本の安全基準」がクリアできない。
ほとんどのアジア新興国は「コストは高いが、最高の安全基準を確保したビル」よりも「なるべくコストをかけずに、最低限の安全基準が確保されたビル」を求める。日本企業は「いかに自分たちの基準ではなく、現地の人々の基準でビルを造るか」ができずに撤退を余儀なくされ、それをやってのけたのが中国企業というわけだ。
この流れは、まさに家電と同じではないか。日本製は高品質・高機能だけれど価格は高い。一方で、中国メーカーは、最低限の品質と機能で低価格が特徴だ。結局、消費者は後者を求め、日本は世界最大の家電メーカーの座を中国に譲り渡した。