
日銀の黒田東彦総裁(宮川浩和撮影)【拡大】
日銀が、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導することなどを盛り込んだ新たな金融緩和の枠組みの導入を決めてから、21日で1カ月となった。この間、長期金利はゼロ%近辺~マイナス0.1%近辺で推移し、市場関係者の間では「日銀の思惑通りに展開している」との声が多い。一方、日銀の金利操作で「官製相場」の色彩が強まった結果、相場の変動幅は小さくなっており、取引が低調になるなどの状況も生じている。
21日の国債市場で、長期金利の指標である新発10年物国債の終値利回りはマイナス0.060%で、日銀が新枠組みの導入を決めた前日にあたる9月20日と同水準。国債利回りと満期までの期間を折れ線グラフで表した「利回り曲線」の姿にも大きな変化はない。
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは「米国の金利上昇や、日銀の追加緩和期待の後退につながる円安傾向を背景に、日本でも金利上昇圧力があったにもかかわらず、市場関係者は日銀が新枠組みを決めた当時の利回り曲線を意識しており、日銀の思い通りになっている」と話す。