
日銀の黒田東彦総裁(宮川浩和撮影)【拡大】
一方、日銀が長期金利をゼロ%程度に事実上固定する方針を打ち出したことで、相場の動きは限定的になっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広マーケットエコノミストは、足元の国債市場について「膠着、閑散の状態」と指摘。変動幅を狙って利益を得るのが期待しづらくなり、積極的な売買が手控えられた結果、取引高は細っており、今月19日には約1年1カ月ぶりに10年債の取引が成立しない事態となった。大塚氏は「国債市場の流動性低下に拍車がかかっている」と語る。
日銀は政策の軸足を長期と短期の金利に移したが、大量の国債買い入れを依然として続けている。竹山氏は「国債買い入れが現状程度ほど大規模でなくても、長期金利をゼロ%程度に導けるようになるだろう」と指摘。ただ、国債買い入れの減額が「緩和縮小」と受け止められれば円高につながりかねないため、「減額のタイミングを見極め、市場との対話に努めることが課題になる」としている。(森田晶宏)