高市早苗総務相は13日の記者会見で、マイナンバーカードを発行する地方公共団体情報システム機構の個人番号カード管理システムに障害が起き、交付が遅れた問題を受けて、機構のガバナンス(統治)について「強化が必要だ」との認識を示した。その上で「総務省が主体的に関われるような法改正を検討している」と明らかにした。
機構は同日、カード交付が滞ったことによる一連の費用1億9450万円を、サーバーを納品した富士通などシステムを構築した5社が支払うことで事実上、合意した。
5社は富士通のほかNTTデータ、NTTコミュニケーションズ、NEC、日立製作所。機構は5社の責任追及に及び腰だったが、システム障害があった今年1月から約1年経過し、ようやく請求を決めた。
高市氏は「背景要因などを検証した結果を踏まえ、顧問弁護士への相談や費用の精査、5社との協議を行い、一定の整理がなされた」と述べ、時間を要したことに理解を示した。
トラブルを受け、機構は西尾勝理事長と望月達史副理事長が役員報酬の20~10%を2カ月返納したが、総務省は関係者を処分していない。
高市氏は「機構は地方公共団体情報システム機構法に基づき、地方自治体が共同で設立しているため、総務省に権限はない」と強調した。その上で、機構や関係者に対し「マイナンバー制度の基幹業務を担っていると改めて認識し、緊張感をもって業務にあたってほしい」と苦言を呈した。