固定化する格差社会、6割が悲観…「韓国の社会動向2016」が描き出すヘル朝鮮 (4/4ページ)

固定化する格差社会を報じる韓国のニュース番組(youtubeより)
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 ネット民もポツリ…「これが韓国の現実だ」

 こうしたニュースが報じられると、韓国のネットニュースの掲示板には、悲嘆や憤慨する市民の声が相次いだ。

 「韓国は上位の既得権層が問題だ。政界も労働界も皆同じ。既得権者は絶対に子々孫々までぜいたくする」「財閥政策を作った政府が元凶だ」などと、政府を批判するコメントに混じって、「こんな記事はうんざりだ。対策はないのに…」「これが韓国の現実だ」と、なげやりなコメントも少なくない。

 また、弾劾訴追案の可決により朴槿恵(パク・クネ)大統領が職務停止に追い込まれて以降は、過激な発言で「韓国のトランプ」として急速に人気を高める城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長の支持者らとおぼしき「階層間の壁を壊す人、李在明オススメ!」との書き込みも目立った。

 こうした社会のひずみや不公平感に対する一般市民の怒りの“はけ口”のひとつが、朴大統領の退陣を求める「ろうそく集会」だった。しかし、報告書にあげられた問題は、社会構造や国民意識に根ざしており、朴氏から次期大統領に政権交代しても早晩、解決するとは言い切れない。その時のはけ口がどこへ向かうのか…。願わくば、その社会を構成する人々すべての自省につながってほしいものだ。(内田博文)