
北陸新幹線の大阪延伸を「小浜・京都ルート」で決定した与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの会合=平成28年12月20日、東京・永田町の衆議院第2議員会館(織田淳嗣撮影)【拡大】
敗者への気遣い
候補となった3ルートを比較するため、国土交通省が昨年11月11日に出した試算では舞鶴ルートの費用対効果は投資に見合うとされる「1」を下回り、この時点で敗色濃厚となった。
しかし同ルートを推す京都府は同月30日、地域の将来性を踏まえた「地域経済効果」という独自の試算を持ち出し、投資に見合うとの結論を発表するなど抵抗。西田氏が「検討する価値がある」と持ち上げる場面もあった。
一方、滋賀県は昨年9月、米原駅(滋賀)で東海道新幹線に乗り換える米原ルートが、最も費用対効果が高いとする試算を独自に発表。さらに三日月大造知事は、石井啓一国土交通相、菅義偉官房長官を訪問し、ルートの優位性を説くなど“積極外交”を繰り返してきた。
小浜京都ルートが適切と結論づけた与党検討委の中間報告では、舞鶴を通る「山陰新幹線」、滋賀県を通る「北陸・中京新幹線」計画の検討着手が「必要」と明記。敗れた京都府、滋賀県の顔を立てる配慮がなされた。敗れたとはいえ、両府県が無関係になるわけではないからだ。
残る難題
滋賀県は小浜京都ルート建設に伴う「並行在来線」問題のカギを握る。北陸新幹線などの整備新幹線では、ルートと似た区間を走る在来線の経営はJRから切り離され、自治体が出資する第3セクターに移すのが一般的だ。