
19日、ワシントンでの行事に出席し、参加者に手を振るトランプ氏(ロイター)【拡大】
「米国製品を買え。米国人を雇え」。20日、連邦議会議事堂前で就任演説した米新大統領のドナルド・トランプ。その1カ月前の昨年12月28日、次期米大統領のドナルド・トランプは南部フロリダ州パームビーチの別荘で、31歳の若き大統領補佐官兼スピーチライターのスティーブン・ミラーらと就任演説の草稿を練っていた。
「トランプ氏は演説を、短くてインパクトがあるものにしたがった」
ミラーは主な歴代大統領の就任演説をひもとき、とりわけニクソン、レーガン、ケネディの演説について講義した。「トランプ氏はレーガンの自信に満ちたスタイルに魅了され、ケネディが米国を鼓舞した点をたたえた」という。
「米国民よ、大きな夢を見よう」というフレーズも検討された。ケネディの影響というよりも、どこかトランプの著書「でっかく考えて、でっかく儲(もう)けろ」(邦題)を想起させる。
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トランプ政権は、いったいどのような相貌をみせるのか。そして、米国と国際社会をどこへ導こうとしているのだろうか。その手がかりを探る試みは昨年11月、トランプが大統領選に勝利した瞬間から、あらゆる分野、さまざまな角度で繰り返されている。
政治学者のウォルター・ミードは、ナショナリズムを主張して名誉の確保を対外的にも求め、軍事力も重視した第7代大統領ジャクソンとの類似性を指摘する。反エスタブリッシュメント(支配階層)などの面は、ニクソンにも近い。