
19日、ワシントンでの行事に出席し、参加者に手を振るトランプ氏(ロイター)【拡大】
米心理学者のダン・マクアダムスらが注目するトランプの言葉がある。
「人間は動物の中で最も悪質な存在で、人生は勝つか負けるかで終わる戦いの連続だ。求めるものを手に入れるまで押しまくる」
トランプの性向を歴史に照らすと、「大きなリスクをいとわず、不測の事態を招きやすい」のだという。
こうした性向は、すでに表面化している。
トヨタ自動車などへの公然たる圧力、制裁解除を引き換えとしたロシアとの核軍縮交渉、ロシアと手を組んでの中東政策転換、対中国をにらんだ台湾接近、英国の欧州連合(EU)離脱決定への強い支持…。
閣僚候補の指名承認公聴会では、トランプとの見解の相違が露呈した。国防長官候補のジェームズ・マティスがロシアは「脅威」と断言すれば、国務長官候補のレックス・ティラーソンは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を「支持する」と言った。
それでもトランプは「閣僚候補には、ありのままでいてほしいし、自身の考えを述べてほしい」と、閣内不一致もどこ吹く風だ。
トランプとは対照的な、閣僚候補の「常識的」で「教科書通り」の見解には、ある種の安心感がある。ティラーソンが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)は日米安全保障条約の適用対象だと確認したことで、日本政府も胸をなで下ろしたに違いない。