【北京=西見由章】トランプ米大統領が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)脱退を正式表明したことについて、TPPを米国主導の“中国包囲網”ととらえてきた中国国内では、一定の安堵(あんど)感をもって受け止められている。また、米国の空白を埋めてアジア太平洋地域の貿易ルールを主導し、政治的影響力を拡大する好機との期待も生まれている。
米国の脱退を受けて、オーストラリアなどTPP参加国からは中国の参加を求める声が出始めた。中国国際問題研究院の滕建群・米国研究所長は24日、海外メディアの記者との懇談会で「今後もし、TPPの再協議が行われたり中国が参加を求められたりするならば、中国は参加すべきだ。妨げるものは何もない」と言い切った。
一方、中国外務省の華春瑩報道官は同日、米国のTPP離脱を受けて米国が参加していない東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を推進すると強調した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)メンバーの参加を想定したFTAAPの実現に向けて、TPPに代わりRCEPをその土台にする意欲を示した形だ。
いずれにせよ、世界第2の経済規模を誇る中国が、多国間貿易協定の主導権を握るシナリオが現実化しつつある。