
トランプ大統領(下)=2月28日、ワシントン(UPI=共同)【拡大】
【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領の施政方針演説は「米国のエンジンを再起動する」と経済成長重視の姿勢を鮮明にしたものの、政策の具体策は見えてこなかった。中間層の再興や米企業の競争力強化のカギとなる税制改革などの言及は、選挙公約から大差なく、政策実現の難しさが浮き彫りになった。
トランプ氏は演説で北米自由貿易協定(NAFTA)発効から現在までに製造業の雇用が4分の1失われ、2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟後には6万件の工場閉鎖が相次いだと指摘した。
しかし、成長の処方箋は就任から1カ月以上がたっても不透明だ。競争力強化のため企業や中間層に重点を置いた減税案はなお「策定中」。財源捻出や財政赤字の拡大回避の方策も「無駄の削減」や「成長による税収増」を唱えるばかりで全体像は示せていない。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱は実現したものの、NAFTAの再交渉開始に必要な議会への報告はまだだ。「公正な貿易」を訴えるが、自由貿易に背を向けるだけでは、成長の道筋は見通せない。
オバマ政権は発足1年目の2009年2月には総額7870億ドル規模の景気対策法を成立させた。息子ブッシュ政権も1年目の01年2月には減税法案を議会に提出し、6月の成立にこぎつけた。歴代政権と比べ、経済運営のスピード感の欠如は明らかで、今後の展開次第では支持層に失望が広がる可能性もある。