【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(41) (2/3ページ)

2017.3.10 05:00

2015年2月8日、五日市が開かれていたコンジャンの町。コーカン人、パラウン人、ビルマ人、中国人らでにぎわっていた(筆者撮影)
2015年2月8日、五日市が開かれていたコンジャンの町。コーカン人、パラウン人、ビルマ人、中国人らでにぎわっていた(筆者撮影)【拡大】

  • 内戦の火蓋が切られた翌9日、町から人影が消えた=ミャンマー・コーカン自治区(筆者撮影)

 ところが、広めの茶畑とまだ収穫期に入っていない多数のクルミの木があるだけで、どうも所得とこの家の資産が釣り合わない。さらに食い下がると、同行者が「これ以上聞くのは無理なので、やめましょうよ」と言い出す始末である。

 そこにコーカンの農業局から「戦争が始まったのでコンジャンの町へすぐ引き返せ」との一報が入った。この家の調査を泣く泣く諦めた私は、それでももう一軒訪ねて、この村の経済の深層に迫ろうとしていた。

 インタビューを続行していると、「とにかく調査をやめて引き上げてくれ」との電話がひっきりなしにかかってくる。仕方なくコンジャンに引き上げる途中、電話もインターネットも繋(つな)がらなくなった。

 ◆医官らが先に逃走

 コンジャンの町でただ一つの旅館を営む中国人経営者は逃げてしまったため、その夜は国軍のコンジャン基地のゲストハウスの個室で過ごした。ところが、翌日は会議室のようなところで雑魚寝(ざこね)することになった。

 この基地のトップである中佐は早々と負傷して不在、その夫人と家族が銃を持って臨戦態勢をとっていた。壁を見ると、軍人の組織図の横に、軍人家族の組織図も掲げてある。夫が死傷しても、妻は基地に残って戦わなければならないようである。

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