【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(41) (3/3ページ)

2017.3.10 05:00

2015年2月8日、五日市が開かれていたコンジャンの町。コーカン人、パラウン人、ビルマ人、中国人らでにぎわっていた(筆者撮影)
2015年2月8日、五日市が開かれていたコンジャンの町。コーカン人、パラウン人、ビルマ人、中国人らでにぎわっていた(筆者撮影)【拡大】

  • 内戦の火蓋が切られた翌9日、町から人影が消えた=ミャンマー・コーカン自治区(筆者撮影)

 何十人もの軍人家族とコンクリートの床で雑魚寝するのを避け、11日は農業局で過ごすことにした。夜7時ごろ、パソコンに向かっていると、「パンパンパン」と花火のような音がして時おり火花も見える。ところが花火にあらず。銃撃戦が始まったのである。

 さすがに恐ろしくなり、電気を消して炊事場で伏せた。丘の上にある諸官庁のビルマ人公務員たちもここに避難してきて、緊張した面持ちでじっと息をひそめていた。

 12日の朝、公務員たちが続々とオートバイや車で町を脱出していった。「自分には責任があるから最後までここに残る」と前日までは言っていた医官や通信官たちが真っ先に逃げ出したのには驚いた。私の運転手と助手も中国との国境の向こう側へ消えていった。彼らの中には途中で追剥(おいは)ぎにあっていまだに行方知れずの者もいる。吉田さんと、幾多の戦地をくぐり抜けてきた彼の運転手が一緒にいなければ、私も逃げ出していたかもしれない。

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