
2013年の国民議会選挙の直後に野党・救国党の本部で演説するサム・レンシー党首(中央、当時)=プノンペン市内【拡大】
同報告書では、カンボジアの野党議員に対する暴力行為や身柄拘束などにも懸念を示している。「14年半ばから少なくとも15人の野党議員が訴追されたり、脅しや身体的な暴力を受けたりしている」と指摘。政党法改正の撤回に加え、国会議員の身体的安全の保証、議員の不逮捕特権剥奪の手順の明確化などを求めている。
APHRには、議長を務めるチャールズ・サンチアゴ氏(マレーシア)のほか、タイ、ミャンマー、シンガポール、フィリピンの議員や元議員が名を連ねる。さらに、カンボジアのムー・ソクア議員(救国党)も参加している。
サンチアゴ氏は「このままでは、カンボジアは一党支配の国となる。国際社会が強く懸念を示さなければ、カンボジアは独裁に陥る。これはカンボジアのみならず、地域全体への警告だ」と声明を出した。
カンボジア外務省は現地紙の取材に対し「APHRの報告は不正確で、根拠のない非難。ASEAN加盟国の原則である内政不干渉を無視するものだ」と反論している。
◆不満が募る国民
カンボジアでは、コミューンとよばれる行政区の評議員を選ぶ地方選挙を皮切りに、上院議員選挙、国民議会選挙などが続いて行われる。このため、最初の地方選挙は、その後の政治勢力を決定する「前哨戦」とみられている。単に投票の動向を探ることができるという意味ではない。
地方選挙は、国民議会議員と地方評議員の間接選挙で選ばれる上院議員の勢力図に多大な影響を及ぼす。
地方評議員は1万以上の票数を持つ。これに対し、国会議員は全議席でも123。仮に地方選挙で野党が与党を上回れば、上院も野党優勢となる可能性が高まる。