
インドネシア西ジャワ州ワナカルタ村で、中国が受注した高速鉄道の「建設予定地」を指さす地主のイダムさん(吉村英輝撮影)【拡大】
地元メディアによると、リニ国営企業相は先月末、当初の中国案になかったトンネル建設や土地収用費により、総事業費が51億9000万ドル(約5900億円)から59億ドルに増加したと説明。中国側の投資拡大に期待を示した。中国の国家開発銀行から今月、第一弾となる10億ドルの融資が行われる見通しという。
ただ、中国側は受注決定後、もともと不要としていた「政府保証」「土地収用完了」を資金提供の条件として提示。融資実行も延期が繰り返されており、ある外交筋は「建設の遅れや条件変更で、インドネシア政権内に中国への警戒感が広がっている」と指摘する。
高速鉄道はインドネシアで初めてで、ジャカルタ・バンドン間の約140キロを約40分で結ぶ計画だ。
ジョコ大統領は2015年9月、事業化調査などで先行していた日本案を蹴って、リニ氏の推薦する中国案を採用した。中国案の開業時期が日本案より早い2019年前半で、次期大統領選の「実績」になると踏んだことも理由とされる。
だが、昨年1月にジョコ氏が出席して着工式典が行われた後、同7月にやっと建設許可が出るなど、ずさんな「見切り発車」の弊害が露呈し続けている。