
経済財政諮問会議に臨む安倍晋三首相(奥中央)ら=2日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
政府の「骨太方針」案は、幼児教育の無償化や大学改革を中心に、安倍晋三首相が重視する「人材投資」を柱に据えた。教育などを通じて格差の固定化を防ぎ、1人当たりの生産性を向上する狙いだ。しかし、優秀な人材を育てた上で成長分野に適切な配置ができなければ、日本経済の底上げにはつながらない。雇用の流動性を高める労働市場改革など、幅広い分野で連携が不可欠だ。(山口暢彦)
「少子高齢化が進む中、人に対する投資は経済社会の生産性向上につながる」
石原伸晃経済再生担当相は、会議後の記者会見でこう述べた。方針案では人材投資の“第一歩”として、幼児教育の無償化から手を付ける。
政府が教育を重視するのは、少子高齢化が進む中で、高い付加価値を持つ人材を中長期的に育てていかなければ、経済の低迷を打破できないという危機意識があるからだ。しかし、最先端の人材が育っても、実際に経済活動の現場で活躍できなければ社会として“宝の持ち腐れ”だ。
たとえば案が示した「リカレント(学び直し)教育」は、社会人が最先端のIT技術を新たに習得するケースを想定する。だが、その技術を必要とする業界や企業への転職が柔軟でなければ、育成した人材も能力をいかせない。