【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(45) (3/3ページ)

2017.6.16 05:00

 こうした低い教育レベルに対し、僧院教育の普及もあって、識字率は高い水準を保ってきた。だがASEAN諸国の経済発展に追いつくためには、高識字率程度では不十分である。まずは基礎教育の義務化、そして中高等教育の充実が急務であろう。

 宗教別人口に関する調査結果の公表が遅れたのは、激化している深刻な宗教対立のためである。バングラデシュとの国境地帯に住むムスリム(イスラム教徒)のロヒンギャ100万人以上は、治安上の理由からそもそも2014年センサスの対象とはならず、過激な反ムスリム運動を主導する仏教徒のナショナリスト団体は、ムスリム人口の増大は国家の「大問題」であるとセンサスの実施前後から唱えていた。社会の「安定」のために宗教人口の公表は遅れ、かつムスリム人口は低く、その分、仏教徒人口比90%は高く見積もられている可能性が高い。

 宗教別人口と同時に公表されるものと思われていた、1983年センサスでは公刊された民族別人口がいまだに発表されていない。内戦の終結と民族の融和を目指して現在行われている「21世紀パンロン会議」が成功しないかぎり、公にはされないであろう。

 そもそも、両年のセンサスとも、カチン、カレン、シャンなどの少数民族諸州の一部地域では内戦の影響で実施されていない。本当の意味でのセンサス=全数調査が実現するのはいつになることであろうか。(随時掲載)

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