
地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」からの離脱を表明するトランプ米大統領=6月1日、ワシントンのホワイトハウス(ゲッティ=共同)【拡大】
雇用は戻らず
各国が警戒感を強めるのは、「何をもって再交渉するのか、何を不満に思っているのか、どの部分をどうしたいのか」(山本公一環境相)というトランプ氏の意図が不明確だからだ。
「私はパリではなく(石炭や鉄鋼業で栄えた米東部の)ピッツバーグの市民を代表している」という言葉からは、“米国第一主義”を前提に協定を作り替え有権者の喝采を浴びたい、そんな願望は伝わってくる。
だが、パリ協定は各国が提出する目標の内容や、その達成を拘束していない。米国の目標水準も(他国から批判を浴びたとしても)自由に設定できる仕組みで、「中国は何百もの石炭火力発電所を新設できるのに、われわれはできない」というのは事実誤認だ。
そもそも、米国内の石炭産業はパリ協定の成立前からシェール革命による天然ガス価格の低下で打撃を受け、関連雇用は現在約8万人と1985年に比べ半減した。いわば市場経済で陶太されたわけで、パリ協定から離脱してもトランプ氏が選挙で公約した石炭関連の雇用は戻ってこない。
また、トランプ氏が停止を宣言した途上国支援のための「緑の気候基金(GCF)」への出資は、パリ協定が義務づけたものではない。米国はオバマ政権時代に表明した額こそ各国最大の30億ドルだが、これまでの拠出は10億ドル弱に留まる。