
イノシシを撃ったボーガンを構えるジアダムの農民兼猟師。やじりには山で採集したトリカブトが塗ってある=2002年12月、カチン州・プタオ郡(筆者撮影)【拡大】
ジアダムを出ると人家はなくなったが、中国向けの木材を伐採したり、薬草を採集したりしている人々に出会った。さらに清流を渡り、雲霧林を歩き、最後は雪の中を登攀(とうはん)して、プタオ空港を出て7日目にポンカンラジの山頂に立った。
帰路にまたジアダムに宿泊したが、その日はちょうどクリスマスだったので、イノシシと猿の肉をプレゼントされた。後で調べたら、この猿はミャンマー語でミャウッフレージョーと呼ばれる類人猿、なんと絶滅危惧種のフーロックテナガザルだった。そういえば村の入り口に、爆弾での魚労やこの猿の狩猟を禁ずる看板があった。行程の途中で会ったアメリカ人は、自身が食べたというレッサーパンダの毛皮を持っていた。
自由に農地を拓けたり、勝手に森林を伐採したり、希少動物を狩ったりと、良くも悪くも中央政府の支配が十分には及ばなかったこの辺境にも、道路が造られ、自然保護区が広がり、観光客がやってきて、村人の生活も「標準化」されていくことであろう。失った「自由」の代償に、せめて保健や教育の立ち遅れは改善されてほしいものである。