
昨年、運行開始した韓国の高速鉄道SRT。韓国鉄道公社との統合が検討される(youtoubeより)【拡大】
これを面白く思わないのが韓国鉄道公社だ。SRTの開業から40日間で、KTXの利用者は1日あたり1万8000人減少した。利益率の高い高速鉄道だけを運営するSRと違い、韓国鉄道公社は在来線の不採算路線も維持する必要がある。赤字が続く一部在来線への投資を維持するために、SRを統合することが、鉄道事業の公共性の強化につながる-というのが同公社の主張だ。
保守政権を否定…既得権者に追い風
こうした、既得権益者の“抵抗”は、SRTの計画段階から与野党を巻き込み、繰り広げられてきた。
李政権は、韓国鉄道公社が独占する鉄道市場の開放を掲げ、民間企業が運営を担う新たな高速鉄道会社の設立を打ち出した。当時も競争体制への転換で値下げの効果が期待できる、との試算がなされていた。
だが、韓国鉄道公社や労働組合は、収益率の高い高速鉄道の民間開放に強く反発。「日本のJRも民営化で料金が安くなったわけではない」などと主張した。当時、与党幹部だった朴氏も「国民の懸念や反対が大きい」として反対の立場を表明した。
続く朴政権で、STRの運行事業者となるSRには韓国鉄道公社が4割出資し、残りも年金公団や政府系銀行が出資する形に政策変更がなされた。KTXにとって、SRTは「競合路線を持つ子会社」といういびつな形ではあるが、競争体制を整えた経緯がある。
確かに、鉄道におけるユニバーサルサービスを鑑みれば、高速鉄道の収益を不採算路線の維持にあてる必要がある、という主張は一定の説得力を持つ。安全確保のためには投資の継続も不可欠だ。