【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(47) (3/3ページ)

ミャンマーに遍在する塊村(住家が不規則な形にかたまった集落)。これを見ると「共同体」を想起しがちだが、内実はそうではない=2013年8月、マンダレー管区域チャウセー郡(筆者撮影)
ミャンマーに遍在する塊村(住家が不規則な形にかたまった集落)。これを見ると「共同体」を想起しがちだが、内実はそうではない=2013年8月、マンダレー管区域チャウセー郡(筆者撮影)【拡大】

 ミャンマーの村にも寺にあたる僧院があるが、一つの村に一つだけとは限らない。村の仏教徒は自分の好きな僧院に通い、それは村の内外を問わない。同一世帯内で、親と子が違う僧院に通う事例もある。キリスト教徒の村でも同様である。また領域神であるユワー・サウン・ナッ(村を守る精霊)は、主に高齢の女性によって保守されており、村人全員が集団として維持するわけではない。デルタ地帯に至っては、この守護霊は村ではなく、個人の敷地や家屋の守り神でしかなくなる。すなわち、寺もナッも村の共同性を前提とするものではなく、村の凝集性を高めるものでもない。

 このように、ミャンマーの村は日本とは異なり、歴史的にも宗教的(あるいは精神的)にも「共同体」ではない。

 次回(8月4日付に掲載)は、社会的経済的視点からこの問いを掘り下げてみる。(参考文献:高橋昭雄著『ミャンマーの国と民-日緬比較村落社会論の試み-』明石書店 2012年)

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