【高論卓説】ヤマ場迎える「働き方改革」 時間管理とは違う基準の制度も急務 (2/3ページ)

 高プロ制度については、共産党や民進党、労働組合などは「残業代ゼロ法案」「過労死促進法案」などと批判している。

 しかし、対象になるのは専門職などで年収が1075万円以上の社員だけ。管理職はもともと残業代支払いの対象外なので、これによって新たに残業代や労働時間規制から除外されるのは、社員全体の1%未満だ。

 労働組合側は、いったん制度が導入されれば、「1075万円以上」という条件がどんどん引き下げられ、対象が拡大していく危険性があると主張している。

 だが、人手不足が深刻化する中で、時間管理にそぐわない優秀な専門職社員の給与を1075万円以上に引き上げる動きが広がる可能性もあるだろう。

 労政審では、労働組合代表の委員から、高プロについて「長時間労働を助長する恐れが払拭されておらず、実施すべきではない」とする反対意見が出され、答申にも反対意見として付記された。法案には連合の主張を取り入れ、健康維持規定として、「年104日以上の休日の義務化」などが盛り込まれた。

 高プロについては、これまで反対姿勢を貫いていた連合の執行部が7月にいったん受け入れを表明したが、傘下の労働組合や民進党の猛烈な反発にあって「撤回」する異例の事態になった。それだけに、国会に提出されても簡単には通過しない可能性もある。

 しかも、臨時国会冒頭での解散となれば、法案成立が18年の通常国会にずれ込むことになり、法律成立から施行まで1年未満となる事態もあり得る。

早急に実現を