
佐賀市で遊説する民進党代表の前原誠司氏=10日午後、佐賀市(中村雅和撮影)【拡大】
希望の党の公認を受けて当選した者が相反する主張の民進党と合流するような動きは、有権者に対する詐欺行為に等しい。希望の党の支持者のみならず、民進党の理念に賛同する国民をも欺く所業だ。
希望の党公認で立候補したある民進党出身者は、安保法制に関し「違憲の疑いが強い」とホームページに記している。勢いがあるとみた希望の党の看板で選挙戦に臨んでおきながら、民進党支持層の顔色もうかがう姿勢があさましい。
衆院選に無所属で出馬した民進党ベテランの一人は希望の党に合流しなかった理由を次のように語った。
「現行憲法下で集団的自衛権行使はできないという考え方に基づき、公約として昨年の参院選を戦った」
毅然とした態度に感心したが、考えてみれば政治家として当然の身の振り方だ。当たり前の姿勢がことさら立派に映ってしまうほど、希望の党への合流組の振る舞いは保身と打算とご都合主義に満ちている。(松本学)