経済対話、楽観日本に冷水 TPP11への余波警戒 通商戦略正念場 (1/3ページ)

日米経済対話で発言する麻生財務相=16日、ワシントン(代表撮影・共同)
日米経済対話で発言する麻生財務相=16日、ワシントン(代表撮影・共同)【拡大】

  • 日米経済対話で発言するペンス米副大統領=16日、ワシントン(代表撮影・共同)

 日米両政府は米ワシントンで16日(日本時間17日)、経済対話の第2回会合を開き、米側が2国間の自由貿易協定(FTA)に強い関心を示し、交渉入りを事実上要求した。今回は要求をかわせると楽観した日本側は冷や水を浴びせられた形。FTA交渉を始めれば米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に復帰する芽を潰しかねず、日本は慎重な構えだ。11月5日から来日するトランプ大統領が安倍晋三首相との首脳会談で再びFTAを持ち出す恐れがあり、日本の通商戦略は正念場を迎える。(ワシントン 西村利也、田辺裕晶)

 対日赤字懸念相次ぐ

 会合には麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領が出席。麻生氏は会合後、「有意義な議論を行い、両国間の進展と成果を確認できた」とした上で、「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米経済関係をさらに深化させるため、今後も建設的な議論を進めたい」と述べ、今後の対話継続と北朝鮮問題における連携強化などの成果を強調。日米間の友好ムードを演出した。

 だが、会合でペンス氏は「FTAへの強い関心」(日本政府筋)を伝え、米側出席者からは対日貿易赤字への懸念表明が相次いだようだ。

 今回、日米両政府は日本側の輸入車認証の手続き合理化や、インフラ整備、米国産天然ガスの輸出に向けて協力することで合意した。

 米国が問題視する自動車の非関税障壁では、日本は台数が少ない型式の輸入車について、騒音や排ガス試験で50台ごとに1台を抜き出し検査する現在の認証手続きを緩和することで米側に配慮。また、検疫の問題から輸出できなかった米アイダホ産ジャガイモと日本産の柿について互いに輸入制限を解除することでも合意した。

経済官庁幹部も警戒