
ラッカセイ畑で除草作業をする農業労働者たち。農民が自ら労働者を集めるのが困難になり、「スィー・ガウン」と呼ばれる労働差配師に依頼するようになった=2017年8月、マグエー郡カンターレー村(筆者撮影)【拡大】
トラクターに関しては、こうした債務の他に3年のローンが組める。耕起料金は1エーカー(約0.4ヘクタール)あたり1万チャットで、1時間に4エーカー耕し、運転手3交代制で24時間運転するので、粗収益は1日96万チャット、燃料費、労賃、スペアパーツ代を引いて3分の1が残るとして32万チャット、年間300日稼働したとして年収9600万チャット、となるから、4000万チャット程度のローンなら簡単に返済できる計算になる。
農産物価格の相対的上昇と金融制度の整備によって、村は急速に「近代化」した。ただし、農業労賃は1日に30チャットだったのが3000チャットと100倍にもなった。それでも農業労働は敬遠される。23年前には1人もいなかった左官と大工がそれぞれ40人と30人出現した。1994年に調査した50世帯中、6世帯がマグエー町へ、3世帯がヤンゴンへ、それぞれ一家で移住してしまっていた。すべてが土地なし農業労働者の世帯だった。労働力不足と賃金高騰の中で、農家はさらなる機械化と化学化を迫られている。トラクターでは代替しきれなかった役牛が、これからどのように消滅していくのであろうか。作物は農薬漬けとなってしまうのだろうか。ドライゾーンの農業はまだ「近代化」の緒についたばかりである。