【アセアニア経済】チャンギ空港が「世界一」である理由 無人化技術でコスト圧縮 危険人物も見抜く (1/3ページ)

シンガポールのチャンギ国際空港の第4ターミナル。搭乗客は無人機を使って荷物を自分で預ける(吉村英輝撮影)
シンガポールのチャンギ国際空港の第4ターミナル。搭乗客は無人機を使って荷物を自分で預ける(吉村英輝撮影)【拡大】

最先端技術でコスト・安全を両立

 アジア有数のハブ(拠点)空港、シンガポールのチャンギ国際空港で31日、4番目となる新たなターミナル(T4)の運用が始まる。経済成長が続くアジア諸国では、所得の向上とともに中間層を中心にした海外旅行の需要が増加している。さらに、格安航空会社(LCC)の台頭で、アジア各地を結ぶ新規路線の就航も相次いでいる。事前公開された新ターミナルを訪れると、既存ターミナルで行われている搭乗券取得や出国手続きに加え、荷物の預け入れなども旅客が自ら行う方式が採用されていた。待ち時間の短縮と人件費を含むコスト圧縮を両立しながら、増大する利用者を取り込む工夫が随所に見られた。

 出国まで係員要らず

 「パスポート(旅券)を機械に読ませ、顔をカメラに向けてください。本人確認が成功したら、自分で荷物をベルトに載せてください」。事前公開されたT4の搭乗カウンターでは、担当者が見学者に荷物を自分で預ける方法を説明していた。荷物には、これも無人の機械で搭乗手続きをした際に発行されたタグを自分でつける。重さや大きさが適正と機械が判別したベルト上の荷物は、スッと奥に送り出されて航空機に向かう。

 6歳以上の市民や長期滞在者は、事前登録すれば、出国手続も担当者らと一切会話をせずに済ませることが可能だ。T3までの既存ターミナルでは、指紋認証で本人を確認した後、係官が旅券の写真を目視で確認してきた。だが、T4では機械の顔認証で旅券と同じ顔の人間かを確認し、「なりすまし」を防ぐ。顔認証は、搭乗口で搭乗券と旅券をチェックする際にも行われるという。

世界の空港人気ランキングはチャンギが1位、羽田が2位