【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(52) (3/3ページ)

周辺の村々で巻かれ、納入されてきた葉巻の品質をチェックし、束ねて、パッキングする労働者たち。彼女たちの多くも周辺の村から働きに来ている=2017年8月、ミンジャン郡ミンジャン町(筆者撮影)
周辺の村々で巻かれ、納入されてきた葉巻の品質をチェックし、束ねて、パッキングする労働者たち。彼女たちの多くも周辺の村から働きに来ている=2017年8月、ミンジャン郡ミンジャン町(筆者撮影)【拡大】

 ◆ブランドが重要

 ミンジャンの町では大規模な部類に入る、名の知れたブランド名を持つ、あるセーレイッコウンでは、1日当たり8万~10万本のセーボーレイッを生産する。1本当たりのコストは、タナペッ7チャット(1チャット≒0.1円)、葉タバコ4チャット、フィルター0.5チャット、商標紙0.15チャット、労賃4.5チャットで、製品歩留まり95%だという。つまり商品原価は17チャットで、これにたばこ特別税が1チャット付く。卸売価格は1本20~25チャットであるから、販売費や一般管理費(光熱費、通信費、減価償却費など)をさらに控除しても、生産本数を加味するとかなりの収入となる。大きな家を構え、高級車を何台か所有しているのもうなずける。

 ミンジャンには200を超える製造所があり、その数は増加傾向にあるという。各製造所は香付けや他の植物の混合などで差別化を図るが、最も重要なのはブランドである。有名ブランドは全国展開し日産数十万本を誇るが、小ブランドや無名ブランドは近隣で安く売るか他のブランドの委託生産をせざるをえない。セーボーレイッ業界は、競争的で格差の大きな世界である。

 さて、ここまで葉巻製造所の話をしてきたが、実はここではほとんど葉巻を「製造」していない。町周辺の村人に中核の巻き作業を委託しているからである。セーレイッコウンはタナペッ、トウモロコシの包葉で作ったフィルター、刻んだ葉タバコなどの原料供給と、出来上がった葉巻の品質チェックとパッキングと販売を主な業務としている。次回はミンジャン町周辺の村々で作られる葉巻と葉タバコの話をすることにしよう。