「米国が狙い撃ち」WTOに提訴 韓国疑心、広がる溝 「友好国なのに…」 (2/2ページ)

 12カ国に米国への鉄鋼輸出量首位のカナダや、日本が含まれないことから韓国側は「友好国なのに狙い撃ちされた」と疑心を募らせている。加えて、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が12日、韓国西部、群山(クンサン)にある傘下の韓国GMの工場を5月末までに閉鎖すると発表した。

 いずれも雇用確保を最重要政策に掲げる文氏の支持基盤を直撃しかねない。

 韓国大統領府の幹部は、文氏は「安全保障と通商をリンクさせない考えだ」と強調するが、トランプ氏の思惑は違うようだ。米紙とのインタビューで先月、北朝鮮が米韓を離反させようとしていると問われ、韓国に対する巨額の貿易赤字を挙げて「これはかなり強い交渉カードだ」と述べた。

 最近も上下院議員らとの会合で「GM工場が戻ってくる」と成果を誇り、米韓が再交渉中の自由貿易協定(FTA)も協議次第で「破棄する」と発言した。

 文政権が中国や北朝鮮への接近を強める中で、経済圧力が高まっただけに、韓国では、トランプ氏が日米韓の協力体制から離脱させないよう通商を使って手綱を引き締めようとしているとの見方も浮上している。