森友文書、消費税率引き上げにも影響か 財務省への信頼失墜、揺らぐ財政再建 (1/2ページ)

森友学園問題で記者の囲み取材を受ける麻生太郎財務相=12日午後、東京都千代田区の財務省(宮川浩和撮影)
森友学園問題で記者の囲み取材を受ける麻生太郎財務相=12日午後、東京都千代田区の財務省(宮川浩和撮影)【拡大】

 財務省が、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書の書き換えを認めたことで、国民の信頼は失墜した。今回の問題で安倍晋三政権の支持率が低下すれば、首相が今秋にも行う見込みの消費税率を来年10月に予定通り10%へ引き上げるかどうかの判断にも影響を及ぼす可能性がある。財政再建に向けて確実な増税を求めてきた財務省だが、自らの失態が実施に影を落としかねない。

 安倍首相は当初、平成27年10月に実施予定だった消費税率10%への引き上げを、2度にわたり延期してきた。しかし、財務省は来年10月の引き上げについては予定通り実施されるとの見方を強めていた。

 というのも、昨年12月に税率10%引き上げに伴う増収分の使途を変えて子育て支援に回すことを決め、増税を事実上の既定路線にしたからだ。しかも、足元は米国経済の好調さに引っ張られる形で企業業績や消費が堅調。29年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は実質年率換算で1.6%増となり、8四半期連続のプラス成長を維持した。

 8四半期連続のプラスはバブル期以降初めてで、財務省では「税率10%実現の環境は確実に整いつつある」(中堅幹部)という力強い手応えを得ていた。

 だが、今回の問題で一気に流れが変わりかねない。