「中国は市場規模が圧倒的に大きい。『メガベンチャー』を生み出す可能性を持っている」。教育系のネットベンチャー企業「清成教育」を中国人の仲間と中関村で立ち上げた三沢公希さん(26)が強調する。三沢さんは清華大大学院修士課程を修了後、米国にいる教師と中国の教育施設とをオンラインで結び、中国の子供に質の高い英語の授業を提供するサービスを2015年に始めた。
総人口が13億人超の中国では、ネット人口も世界最大の7億人超に達する。規模がものをいうネットビジネスでは、膨大なネット人口は大きな強みとなっている。16年に中国のデジタル経済規模は22兆5800億元(約380兆円)で、対国内総生産(GDP)比で30.3%に達したと昨年末に報じられた。
人工知能(AI)を活用したネットサービスなど、ハイテク分野ではベンチャー企業の急成長が目立つ。三沢さんも事業立ち上げから約2年半で大手企業を含む約20社と提携し、さらなる成長の手応えをつかんでいる。
ハイテクベンチャーでは広東省の深●(=土へんに川)も日本で注目されるが、ハードウエア(機器)で強みがある深●(=土へんに川)に対し、中関村はソフト面で強みがある。ベンチャー企業に資金を提供する投資家が多いのも中関村の特徴で、中国全土の毎年の創業投資の3分の1程度を中関村が占めるという。中国の起業家は「中関村こそハイテク産業の中心地だ」と指摘する。こういったハイテク産業の成長に注目してか、3月27日には金正恩氏も中関村を訪問。中国科学院の施設で展示会を視察した。