人口減少の対策の例として、一部の自治体では都市機能や居住地域を拠点にまとめる「コンパクトシティ」への取り組みなどを始めている。コンパクトシティは、道路や公共施設の整備や行政サービスの提供を効率よくできる。しかし、まだ多くの地域では対策が緒に就いたばかりというのが現実だ。
この提言は、このまま日本人がいなくなってもいいのか、という危機感から始まった。当面の人口減少は避けては通れない道だ。しかし子どもを産みやすく、育てやすい社会に変えて出生率を上げれば、歯止めはかけられる。この困難から日本人は目を背けてはいけない。
▼人口減少のすえ、2006年に財政破綻を表明した北海道夕張市はこうなった
●東京23区より広い面積だが、小学校6校を1校に統廃合。中学校は3校が1校に。
●図書館、集会所、演奏会などを開く集会施設の大半を廃止に。
●200床以上あった市立の総合病院を19床の診療所に変更。
●交通安全や芸術活動などに関する各種非営利団体への補助金を全廃(その後一部は復活)。
●市民税を法律上の上限まで引き上げ。窓口業務の各種手数料なども値上げ。
●約400人いた市職員を約160人まで減らし、給料も最大で4割カット。
●インフラコストを抑えるコンパクトシティ計画で市中心部への引っ越しを住民に要請。
高山圭介(たかやま・けいすけ)
公益財団法人日本生産性本部統括本部部長
1974年、北九州市生まれ。大手家電メーカー勤務などを経て、2005年に日本生産性本部に入職。13年より日本創成会議の事務局として「ストップ少子化・地方元気戦略」などの提言作成に携わる。
(青柳 雄介、公益財団法人日本生産性本部統括本部部長 高山 圭介 撮影=横溝浩孝 地図作成=大橋昭一)(PRESIDENT Online)