
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】
上位1割に集中
多様性はプラスに働けば、ダイナミズムを生み出し、町を活性化する。そして、これがニューヨークの強みだといえるのだろう。同質性の高い東京とは大きく異なったニューヨークの特色といえるのだろう。しかし、多様性がマイナスに働けば、社会の分裂ということが起こりかねない。そして、ニューヨークは次第にそうした方向に動いてきているような気がする。米国の1人当たり国内総生産(GDP)は主要先進国の中で最も高い。2016年の米国の1人当たり名目GDPは5万7607ドル。ドイツの4万2177ドル、英国の4万50ドル、日本の3万8823ドルを大きく上回っている。
しかし、成長の果実はトップ1割前後に集中し、格差は拡大してきているのだ。上位1%の資産は1962年には中央値の125倍だったが、2010年には288倍になっている。上位1%の資産は全米の34%、下位50%の資産は2.5%にすぎない。
かつてマーティン・ルーサー・キング牧師が黒人に対する差別を撤回しようと、“We shall overcome”と歌いながら行進したが、まだまだ米国がovercome(克服)しなければならない課題は山積している。ニューヨークに久しぶりに来て感じるのは、この町が東京と違って貧しさと豊かさが混在する町だということなのだ。それが米国のダイナミズムということもできるのだろうが、貧困から抜け出して成功するという、かつての「アメリカン・ドリーム」は色あせたものになってしまっている。