【論風】高まる米中貿易摩擦への懸念 食料問題への影響は不可避 (3/3ページ)

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 農業に対する否定的な印象がまた広がり、それは国内農業衰退に拍車をかける。日本は本来、世界の食料供給基地の一つとしての役割を果たさなければいけないのにもかかわらずだ。

 世界的食料不足の深刻化は、米国を中心とした、遺伝子組み換え農作物にさらに市民権を与え、世界に拡散し、生態系は危険水域に向かう。保護主義による貿易摩擦は、食料不足(偏在)を加速させ、遺伝子組み換え農作物栽培が、世界に拡散する引き金になるのではと危惧する。

 安全保障の再考を

 現段階では、杞憂(きゆう)といわれるであろうが、将来は決してそうではない。

 今のトランプ政権における貿易摩擦は、あまりにも乱暴で、恐らくは軌道修正されるであろう。それでも、未来にわたって貿易摩擦がくすぶり続ける可能性は高い。

 資金力や政治力の強い国だけが食料を確保し、一方で弱い国は、ますます食料危機や食料インフレの辛酸をなめ続けることになる。

 総論では、食料や農業の重要性は誰も疑いの余地がない。しかし実際には、さまざまな事情の下、日本も世界も、農業生産は伸び悩んでいる。

 日本は、今置かれている状況に対応し、自国の食料安全保障をどう確保し、世界の食料安全保障にどう貢献するかを、改めて再考する必要がある。

【プロフィル】鈴木誠

 すずき・まこと 慶大商卒、1988年東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。ベンチャー投融資担当などを経て98年退社、2001年日本ブランド農業事業協同組合事務局長、03年3月ナチュラルアート設立。農業経営・地域経済活性化・店舗運営・食育プロデューサー。八戸学院大学客員教授。52歳。青森県出身。